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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

腰折れスズメ 

腰折れスズメ


 むかしむかし、あるところに、心やさしいおばあさんと欲深いおばあさんがとなり合わせに住んでいました。

 ある朝、心やさしいおばあさんが、ほうきで庭をはいていますと、庭のすみの草むらでチイチイと悲しそうに鳴くスズメがいました。
「おおっ、可哀想に」
 心やさしいおばあさんがスズメを手のひらにそっとのせますと、なんとスズメの腰の骨が折れているではありませんか。
 おばあさんはそのスズメを家へ連れてかえり、一生懸命に看病しました。
 するとだんだん、スズメの傷は治っていきました。

 ある日の事、スズメが何か言いたそうにしています。
「どうしたんだい? ああ、元気になったので、お家に帰りたいんだね」
 おばあさんがスズメを庭先に出してやると、スズメは元気よく飛んでいってしまいました。
「よかったわ、あんなに元気になって。でも、あのスズメがいなくなると、なんだかさみしいね」

 それから何日かたったある朝、いつものようにおばあさんが庭をほうきではいていますと、なにやらなつかしい鳴き声が聞こえてきます。
「あれあれ、あんたはあの時のスズメかい? うれしいね、会いに来てくれたのかい」
 スズメはうれしそうに鳴くと、おばあさんの前に小さなタネを落として、そのまま飛んでいってしまいました。
 そのタネは、ひょうたんのタネです。
 おばあさんはスズメにもらったひょうたんのタネを、庭にまきました。

 やがて秋になり、スズメのくれたひょうたんは立派に成長して、たくさんのひょうたんが実りました。
 そしてすっかり大きくなったひょうたんを取ってみると、なんだかすごく重たいのです。
「おや? どうしてこんなに重たいのかね? 何かが入っているような」
 おばあさんがそのひょうたんを割ってみますと、不思議な事に中にはお米がたくさんつまっているのです。
「あれまあ、不思議な事もあるものだね」
 おばあさんは、そのお米でご飯をたいてみました。
 そのご飯の、おいしいこと。
 おばあさんはそのひょうたんのお米を近所の人にくばり、あまったお米を売ってお金持ちになりました。

 さあ、それをねたましく思ったのは、隣の欲深いおばあさんです。
 欲深いおばあさんは庭で遊んでいるスズメに石をぶつけてつかまえると、かわいそうにそのスズメの腰の骨をむりやり折ってしまいました。
 そしてその腰の折れたスズメをかごに入れると、そのスズメに毎日えさをやりました。
「さあ、はやく良くなって、わたしにひょうたんのタネを持ってくるんだよ」
 そして、一ヶ月ほどがたちました。
「もうそろそろ、いいだろう」
 欲深いおばあさんは、スズメを庭に連れ出すとこう言いました。
「今すぐ飛んでいって、米のなるひょうたんのタネを持ってくるんだよ。さもないと、お前をひねりつぶしてしまうからね」
 スズメのキズはまだ治っていませんが、こわくなったスズメは痛いのをガマンして、そのまま飛んでいきました。

 それから何日かたったある日の夕方、毎日庭先でスズメが帰ってくるのを待っている欲深いおばあさんの前に、あのスズメが現れました。
「やれやれ、やっときたね」
 欲深いおばあさんはスズメの落としていったひょうたんのタネを拾うと、それを庭にまきました。
 そのひょうたんのタネはどんどん大きくなって、秋には立派なひょうたんがたくさん実りました。
「よしよし、これでわたしも金持ちになれるよ」
 おばあさんが包丁を持ってきて、一番大きなひょうたんの実を割ってみました。
 すると中から出てきたのはお米ではなく、毒ヘビやムカデやハチだったのです。
「ひぇーーー!」
 他のひょうたんからも毒ヘビやムカデやハチなどがたくさん出てきて、欲深いおばあさんにおそいかかったという事です。

Posted on 2014/10/10 Fri. 08:47 [edit]

category: 日本の民話

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10

テングに気に入られた男 

テングに気に入られた男
静岡県の民話


 むかしむかし、静岡の大きな川の渡し場のそばに、一軒の小さな茶店がありました。
 その茶店に山伏姿(やまぶしすがた)の背の高い男がやってきて、注文したおそばをうまそうに食べると、茶店の主人の三五郎(さんごろう)に言いました。
「こんなにうまいそばを食べたのは、初めてだ」
「それは、ありがとうございます」
「・・・して、あんたはまだ一人者だね。なぜ、嫁さんをもらわんのじゃ? これからわしは江戸へ行くが、江戸に何人も良い娘を知っておる。帰りに良い娘を連れてきてやるから、夫婦になりなさい」
 山伏姿の男はそう言うと、渡し舟で川を渡っていきました。
「・・・嫁さんか」
 三五郎はなんとなく、うれしくなりました。

 それからしばらくたったある日、あの山伏姿の男が本当に、若い娘を連れてやってきたのです。
 娘は恥ずかしいのか下をむいたままで、まったく顔をあげません。
「主人よ、これはほんのみやげじゃ」
 男は風呂敷につつんだ重い物を三五郎の前に差し出すと、二人にむかって言いました。
「よいか。夫婦というものは、どんな時でも仲むつまじくなければならん。決して、けんかなんぞするなよ。それではわしは、ちょっとそこまで行ってくる」
 山伏姿の男は、そのまま茶店を出ていきました。
 娘と二人になった三五郎は、娘に熱いお茶を出しました。
「ああ、とにかく、お茶でもどうぞ。江戸からでは、大変じゃったろう。疲れておるなら、二階でひと休みするとよい」
 すると娘は、はじめて顔をあげました。
 まだ十七、八の、かわいい娘です。
 娘は熱いお茶を飲むと、
「ヒクッ!」
と、 大きなしゃっくりをして、急にそわそわしはじめました。
「あれ? ここは? ここは、どこですか? あなたは、どなたですか?」
「えっ?」
 三五郎はおどろきましたが、とにかく娘の気を落ちつかせると、これまでの事を話しました。
 すると娘は、
「あっ! きっと、あの南天(なんてん)の実のような赤い薬だわ」
と、こんな話をはじめたのです。
「実はわたし、江戸のある橋のたもとで急に気分が悪くなったのです。
 すると、山伏姿の背の高い男が現れて、
『これは、元気になる薬じゃ。すぐに飲みなさい』
と、言って、わたしに赤い薬を一粒くれました。
 それを飲むと、とても良い気分になって。
 それからは、何も覚えていません。
 たったいま熱いお茶を飲んだら、しゃっくりが出て正気にもどったのです」
 娘は三五郎に頭を下げると、すぐに江戸へもどっていきました。

 一人残された三五郎は、山伏姿の男がみやげだと置いていった風呂敷包みを開けてみました。
 すると中には小判で、六十両ものお金が入っていたのです。
 三五郎は気味が悪いので、すぐに役人に届け出ました。
 すると役人は、にっこりわらって言いました。
「ああ、またですか」
「また?」
「はい、お前さんで、何人目だろうか。
 このような事はもう何年も前から続いていて、山伏姿の男はテングだと言われています。
 テングは気に入った相手に、親切にするという話しです。
 嫁さんは手に入らずおしい事をしましたが、そのお金はお前さんの物です。
 ありがたく、もらっておきなさい」

 テングはそれっきり、三五郎の前には現れなかったそうです。

おしまい

Posted on 2014/10/08 Wed. 09:03 [edit]

category: 日本の民話

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08

祭りに参加したキツネ 

祭りに参加したキツネ


 むかしむかし、ある村に、人を化かしていたずらをするキツネがいました。
 村人たちの中には、ドロのだんごを食べさせられたという人や、お風呂だと言われてこやしのおけに入れられた人など、色々ないたずらをされる人がふえてきました。
 そこで、村人たちは、
「なんとかしてキツネをこらしめ、いたずらをやめさせなければいけない」
と、言い出しました。
 それには、おこんギツネというキツネの親分をつかまえなくてはいけないのですが、そのキツネはかしこくて、なかなか捕まりません。
 すると、ある若者が、
「今度の盆踊りで化け比べをすれば、化けるのが好きなおこんギツネは、きっと出てくるよ」
と、言いました。
 おこんギツネをおびき出すために、今年の盆踊りでは特別に工夫をこらして、いろいろな姿に化けて踊って一番うまく化けた者にはほうびをやろうというのでした。
「ほう、それはおもしろい」
と、みんなは賛成しました。
 そこで踊りに出る人たちは、こっそりいろんな用意をしました。

 そしていよいよ盆踊りの夜、村人たちは森のおみやの前の広場に集まりました。
 たいこがなりひびき、歌声が流れていきます。
♪よいやさ、よいやさ。
♪よいやさ、よいやさ。
 みんなは輪になって、グルグルと踊りまわっています。
 カゴを背負った、花売り娘。
 槍をかついだ、やっこさん。
 美しい、お姫さま。
 ひょっとこのお面の男。
 ひげを生やしたお侍。
 お坊さん、赤鬼、金太郎など。
 色々な姿に変装した、踊り手たちがいます。
 その向こうには、ごほうびにもらうお酒の樽や焼き鳥のごちそうなどが、たくさん並べてあります。
 踊りまわるうちに、お姫さまとひょっとこがぶつかったり、お侍が転んだひょうしに立派な口ひげを落としたりして、見物している人たちはドッと笑い転げています。
 するといつのまにか踊りの輪の中に、立派な若いお侍の姿をした踊り手がまじっていました。
「ほう、見事な若侍じゃな」
「うん、大した若侍じゃ」
と、みんながほめます。
 それに踊る手ぶりや体の動かし方が、なかなか見事です。
 やがて夜もふけたころ、たいこの音もやみ、踊り手たちの輪もとけて盆踊りが終わりました。
 みんなはまわりのむしろの上に座って、ホッと汗をふいています。
「さあ、だれが一番うまく化けて、うまく踊ったかな」
 見物していた人たちが、一番良いと思った人を決める事になりました。
 やっこさん、お姫さま、ひょっとこも、人気がありましたが、一番になったのはあの若侍の踊りでした。
「ほんとに、見事じゃったのう」
 ごほうびのお酒を入れた樽が、若侍の前に並べられました。
 もちろん、食べきれないほどのごちそうも出されました。
「そら、お祝いじゃ。飲め、飲め、いくらでも飲め」
 たくさんの酒をすすめられた若侍は、たちまち酔っぱらってしまいました。
 そして、ゴロンと横になりました。
 すると体の後ろの方から、長い尻尾がポックリと出てきました。
「ほれ、あれあれ、あの尻尾は、キツネだぞ」
「やっぱり、キツネのおこんじゃ」
 そこでみんなはしめたとばかりにキツネのおこんを捕まえて、なわでしばってしまいました。
「さあ、おこん。もう逃げられないぞ、覚悟しろ!」
「いたずら者の尻尾を、切ってやる!」
 おこんギツネは、すっかりキツネの姿に戻って、
「尻尾ばかりは、ごかんべんを。尻尾は、キツネの宝物です。どうか、許してください。コーン、コーン」
と、頭を下げました。
「では、もういたずらはしないか?」
「はいはい、もう二度といたしません。コーン、コーン」
 おこんギツネは、一生懸命にあやまりました。
 そこでみんなは尻尾を切るのをやめて、なわをといてやりました。
 喜んだおこんギツネは何度もお礼をいって、頭と尻尾をフリフリ、森の奥へ逃げていきました。
 コーン、コーン

おしまい

Posted on 2014/10/06 Mon. 09:08 [edit]

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06

ムカデの医者むかえ 

ムカデの医者むかえ


 むかしむかし、虫たちが一軒の家で、仲良くいっしょにくらしていました。

 ある日の事、カブトムシが急に苦しみ出しました。
「うーん、いたい、いたいよう」
「カブトムシくん、どうしたんだ! どこがいたいんだい?!」
 虫たちは心配そうに、カブトムシの周りに集まりました。
「とにかく、はやく医者を呼んで来ないと」
「でも、だれが一番、足が速いんだろう」
 すると、年寄りのカナブンが言いました。
「そりゃあ、ムカデだろう。なにしろ足が、百本もあるんだから」
「よし分かった。ぼくにまかせろ!」
 ムカデはすぐに、げんかんに向かいました。

 それからしばらくしましたが、ムカデはなかなか帰ってきません。
「おそいなあ、どうしたんだろう」
「足が多いから、足がはやいはずなのに」
「だれか、ようすを見て来いよ」
 そこでバッタとカミキリムシが、ようすを見に行くことになりました。
 二匹がげんかんに行くと、ちょうどムカデがわらじをはいているところでした。
「ムカデくん、やっと帰ってきたんだね。それで、医者は?」
 するとムカデは、首を横に振りながら言いました。
「ちがうよ、ぼくの足は百本あるから、わらじをはくのに時間がかかるんだ。まだ半分しか、はいていないんだ」

おしまい

Posted on 2014/10/03 Fri. 08:58 [edit]

category: 日本の民話

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03

山の背比べ 

山の背比べ


 むかしむかし、ある山が自分の背の高さを自慢しました。
「やっぱりぼくの方が、お前よりも高いようだな」
「どうして?」
「どうしてって、ぼくはお前の頭の上のが、見えるんだもの」
「それなら、ぼくだって見えるさ。いいや、お前だけじゃなくて、みんなの頭の上が見えるよ。だから、もしかするとぼくは日本中で一番高い山かもしれないね」
「日本中で、一番だって?!」
 それを聞いて、他の山たちも集まってきました。
「お前のようなチビ山の、どこが一番なんだ?」
「そうさ、一番は、このおれさ」
「何だと、おれに決まっているだろう!」
「よーし、誰が一番高い山か、比べっこしよう」
 こうして山たちは背比ベをしようとしたのですが、そこで困った事に気がつきました。
 いったいどうやって、どちらが高いかを比べたらいいのでしょうか?
 みんな大きな山なので、近くに並べるわけにはいきません。
「どうしようか?」
 山たちが困っていると、人間たちが言いました。
「それなら長い長いといをつくって、それを背比ベする山と山のてっペんにのせるんですよ。そして雨が降るのを待つのです。水は低い方へ流れていきますから、といにたまった水が流れてきた方が低いの山です」
「なるほど、それはいい考えだ」
 そこで人間たちは、背比べをする山から山へ長いといをかけました。

 しばらくすると雨が降ってきて、といにたまった水が流れはじめました。
「やったー! ぼくのところへは流れてこないぞ! ぼくが一番高い山なんだ。・・・あれ?」
 そう言っているところへ、別のといから水が流れてきました。
「ははーん。一番高いのは、お前じゃあない。一番高いのは、このおれさ。なにしろおれのとこめには、水が流れて来ないからね」
「うーん、しかたがない。お前が日本で一番高い山だ」
 こうしてとうとう、日本一高い山が決まったと、みんなは思いました。
 すると、その時です。
 ズシーン!!
 ものすごい音とともに、大きな大きな山が飛んで歩いてきました。
「なっ、なんだ、あの大きな山は!」
 おどろく山たちに、その大きな山が言いました。
「やあ、ぼくは富士山さ。山の大きさ比べをしていると聞いて、ここまで飛んできたんだ。どうだい、ぼくより大きい山はいるかい?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 背比べしていた山たちは、はずかしくて何も言えませんでした。

 こうして富士山が、日本一高い山となりました。
 ちなみに、ジャンプしてきた富士山が着地した場所は大きくへこんで、そこに水がたまって今の琵琶湖(びわこ)が出来たそうです。

おしまい

Posted on 2014/10/01 Wed. 08:57 [edit]

category: 日本の民話

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