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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

飯盛山と白川 

飯盛山と白川


 むかしむかしのことです。飯盛山(いいもりやま)のふもとにはきれいな川が流れていました。流れる水が、とてもすきとおっていてきれいなので、村人たちは白川とよんでいました。その川には、たくさんの魚がすんでいました。子どもたちは、川で魚をとったり、およいだり、おもちゃのふねをうかべたりしてたのしくあそびました。
 この川のまん中に、大きな岩がありました。おとなたちは、この岩と岩とのあいだに、たわらをつんで水をため、田んぼに水をひいて田うえをしました。

 ある年のことです。春から雨がふらないのでみんなこまっていました。
「たいへんだ、たいへんだ」
 朝早く川に出かけた市田村(いちだむら)の庄屋八郎左衛門(しょうやはちろうざえもん)さんは、村へあたふたともどってきました。
「なんだ、なんだ」
 村人たちは、川へ行ってみておどろきました。前のばんにつんでおいたたわらが、半分うごかされており、川の水がとなりの野口村のほうへいせいよく流れているのです。八郎左衛門さんたちは、野口村の甚蔵(じんぞう)さんのところへすぐ出かけました。そして、
「川の水を半分分けてくれませんか」
とたのみました。しかし甚蔵さんは、むずかしい顔をして、
「ことしは雨がふらないから分けることはできないなあ」
と、あいてにしてくれませんでした。夏の日がとっぷりくれて、あたりがくらくなったころ、市田村の人たちはそろって川へでかけました。
「そら、よいしょ」
「そら、よいしょ」
 やがてたわらはもとのばしょにもどされ、ふたたび水が市田村のほうへ流れるようになりました。
「ああよかった。これで田んぼのいねがかれなくてすむ」
「おれたちものたれじにしないですむな」
 こんなことを言いながら村人たちは家へ帰りました。

 あくる朝こんどは野口村の人たちがおどろきました。田んぼの水がまったくありません。いねも下をむいてかれそうです。いそいで川へ行ってみました。
「あっ、市田村のやつらかってにたわらを動かしおったな」
 野口村の人はぷりぷりおこりながらたわらをもとへもどしました。

 こんなことをくりかえしているうちに、とうとうけんかになりました。二つの村の人たちは、木のぼうやかまでなぐり合ったり、きり合ったりしました。きずついた人やしんだ人も出ました。けんかがなかなかおさまらないので、ばく府にたのんでなかなおりさせてもらおうと、野口村のだいひょうが江戸まででかけて行きました。
「みんなよくきくがよいぞ。川の水はみんなのものじゃ、けんかしてはならん。これから川の水は半分ずつ分けるようにせい」
 江戸の役人はこのように言いわたしました。赤坂や御油(ごゆ)の村からも、役人がやってきました。野口村の甚蔵さんと市田村の八郎左衛門さんが、みんなの前でなかなおりをしました。
 それから二つの村はたいそう仲よしになったということです。


「とよかわのむかしばなし -民話と伝説-」より
協力/後藤 万紀子(敬称略)
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Posted on 2013/04/26 Fri. 10:03 [edit]

category: 日本の民話

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