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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

との様と下ごえ 

との様と下ごえ / との様と魚


との様と下ごえ

 ある所のとの様が、りょう地を見回りに出られました。お百しょうさんたちが、畑で働いて、下ごえを野つぼから出しては、作っている菜(な)や大根にかけていました。「ありゃあ、何をしとるのか。」と問われましたので、おそばの者は、「あれは、金ぴと申しまして、人間のくそや小便をそのままでは強うござりますゆえ、いったん野つぼでくさらして畑にかけるのです。そうすると、野菜物がおいしく食べられるのでござります、はい。」と申し上げますと、とのさまは、「あんなものをかけているんか。きたないいことじゃ。以後よの食料の野菜にはかけんようにして作れ。」と言われました。

 その後、との様のめし上がる野菜類には、下ごえをかけずに作ったのを差し上げました。「どうもいつものようなうまさはこの葉っぱにはないが、いかがいたしたか。」
とのお声に、「これは下ごえをかけるなとのおおせなので。」と言うと、「じゃ、こうまずいのなら、かけて来てくれ。」とわんぐるめつき出したと。


との様と魚

 との様がありました。との様は、焼いたタイをご飯のおかずにめし上がっていました。ところが、かた身を食べてしまって、「魚のお代わりを持て。」と言いました。家来はこまってしまいましたが、茶ぼうずが、「かしこまりました。」と、その皿を持ってろうかに出て、魚をひっくり返して、「さあ、どうぞ。」と出しました。との様はもうかた身のあることを知らなかったからです。
 何もじょうしきのない者を、じゃから「おとの様」と言うんじゃよ。



『日本むかし話記録6 岡山県御津郡むかし話集』(発行 株式会社三省堂)より
編者 柳田 國男
採録者 今村 勝臣(敬称略)
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Posted on 2012/11/24 Sat. 10:43 [edit]

category: 日本の民話

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