12 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 02

彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

鶴柿 鶴の恩返し 

鶴柿 鶴の恩返し


むかし、むかし、ある日のこと、鶴の親子が八代(やしろ)の里を空高く飛んでおりました。
八代の里は柿の木がおおいところ。
たわわに実ったおいしそうな柿の実をみて、子鶴は、たべたいとほしがりました。

けれども鶴は木の枝にとまることができません。
どうやって、もいだらいいだろうと、親鶴は柿の木をぐるりぐるりと飛んでおりました。

そこへ一羽のからすが飛んできて、うれた柿をおいしそうにたべはじめました。

これをみて親鶴は柿の木の下へ降りて行き
「からすさん、わたしたちにも一つうれた柿をもいでおくれでないかね」
と、たのみました。からすは
「もいでやってもええがの、お前さんはきりょうよしじゃ、よううれた柿じゃ着物がよごれるじゃろうから、まぁこれがよかろうて」
といって、まだかたい柿の実を鶴になげました。

「からすさん、子供がほしがりますので、もっとよくうれたのをおねがいします」とまた、ていねいにたのみました。
「それなりゃ、ちょっとまっちょけいや」
といったきり、からすは鶴にとってやろうともせず、自分だけよくうれた柿をたべ、種やへたを下へバラバラなげすてました。

いつまでたってもとってくれそうにありませんので、鶴はまたたのみました。すると、からすは腹をたてて
「そんなら、お前さんがのぼってすきなものをもぎんされ」
といったかと思うと、かたい柿の実を鶴にむかって投げつけました。

これを、じっとみていたお百姓さんは、ぬけぬけと柿をたべているからすを追いはらい、よくうれた柿を鶴にとってやりました。

鶴の親子はよろこんですっかりたべると
グルーガルー、グルーガルー
とお礼をいいながら飛んでゆきました。

それからしばらくたった、ある寒い日のこと、このお百姓さんの家に大そうどうがおこりました。
お百姓さんの子供が干柿をたべていて、柿の種をのどにつめてしまったのです。

すると、いつぞやの鶴が、お百姓さんのあわてたすがたをみて、わけをきくなり
「わたしがおたすけしましょう」と お百姓さんの家へ飛んで行きました。
そして鶴は、苦しんでいる子どもの口を開けさせると、その長いくちばしでなんなく柿の種をついばみ出してしまいました。

お百姓さん夫婦は大喜びで鶴にお礼をいい
「八代の柿ぁ うまいんじゃが、種が多くてしょうがない。種さえなけりゃ、八代の柿は周防一じゃが」といいました。

これからです。八代の柿は干柿にすると、どうしたわけか種がすっかりなくなってしまい、子どもが種をのどにつめる心配がなくなった、ということです。
こうして八代では、干した柿を干柿ともつるし柿ともいわず、鶴の恩返しと考えて、鶴柿(つるがき)というようになったそうです。

(熊毛郡)


山口銀行編纂 山口むかし話より転載
関連記事

Posted on 2019/03/30 Sat. 11:25 [edit]

category: 山口むかし話

TB: --    CM: 0

30

コメント

Comment
list

コメントの投稿

Secret

Comment
form