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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

かっぱとひょうたん 

かっぱとひょうたん


むかし、むかし、ある山里におじいさんと娘が住んでおりました。

おじいさんの田んぼは、家からずっと離れたところにあり、毎日山道を通ってその田んぼで働いていました。

ところがある日のこと、不思議なことがおっこったのです。
それは、田んぼに苗を植えてから数日後に、田んぼの水がすっかりなくなっていたのです。
今までにこんなことは一度もなかったことです。

おじいさんは娘と二人で、山の田んぼへせっせと水を運びました。
山の下の堤から田んぼまで水を運ぶのは大変な仕事でした。
二人は毎日、毎日続けましたが、とうてい間にあいません。

疲れたおじいさんが、田んぼのあぜにしょんぼりと座っていると、一匹のかっぱがあらわれて、おじいさんに語りかけました。
「おじいさんや、いったい何をそんなに沈んじょるんかいの」
おじいさんは答えました。
「この田をみんさいや、はよう水を入れんけりゃ枯れてしまう。誰か水を引いてくれんじゃろか、お礼にゃなんでもやるんじゃが」

これを聞いたかっぱは喜んで言いました。
「わしが引いちゃるで、お前さんの娘を嫁にくれるかの」
おじいさんは、こんな小さなかっぱにできるはずもないと、つい約束をしてしまいました。

あくる日、おじいさんは田んぼに行ってびっくりしました。田んぼいっぱいに水がはってあるではありませんか。

おじいさんは、水の引き主を神さまと思いこみ、かっぱの言ったことなどすっかり忘れて、娘と大喜びしました。

そのとき、ぴょこんとかっぱがあらわれて言いました。
「おじいさん、わしのいうたこと忘れてはいまいな。この水はわしが引いたんじゃぜ」
おじいさんは言いました。
「お前の力でできるもんかいの。こりゃあ、神さまがお引きくださったんじゃ」
かっぱは腹をたてて、田んぼの水を一滴もなくしてしまいました。

かわききった田んぼをみて驚いているおじいさんに、かっぱが言いました。
「どうじゃ、これでもまだ、お前はこのわしを信ぜりゃせんかい」

こうなっては、おじいさんの負けです。
「信じる。じゃから、もういっぺん水を入れてくれ」と、かっぱに頼みました。
すると、かっぱは得意になり、
「引いちゃるかわりに、約束を忘れんようにな」と言って、田んぼいっぱいに水を引きました。
おじいさんはとうとう娘をかっぱにやる約束をしてしまいました。
これを聞いて、ようやく娘も決心をし、ひょうたんを三つ持って、お嫁に行くことにしました。

あくる日、かっぱは朝早くから待ちかねていました。
かっぱが娘を水の中へ連れて行こうとすると、娘は言いました。
「先にこのひょうたんをはこんでおくれ」と、かっぱの背中にひょうたんをくくりつけました。

さて、かっぱは水の中へ帰ろうとしてもぐりましたが、ひょうたんが軽くて浮きあがってしまうのです。とうてい水の底へたどり着くことができません。
何度も何度もくりかえしましたが、どうしてもたどりつけず、とうとう力つきて、のびてしまいました。

そしてよわよわしく言いました。
「お前さんの願いは何でも聞いちゃるから、はよう、このばけもんをのけちょくれ」
そこで娘は、かっぱに水のもりを頼みました。
そして背中のひょうたんをとってやると、
「はあ、そのばけもんはおそろしい。そないなもん持っちょるお前さんもごめんじゃ」と言って、かっぱは水の中へ帰って行きました。

それからというものは、田んぼにはいつも水がたまり、おじいさんと娘の苦労はなくなりました。
そのかわりかっぱにはお礼にと、夏がくるといつも、かっぱの好きなきゅうりを淵に流してやることにしたそうです。

(都濃・佐波郡)


山口銀行編纂 山口むかし話より転載
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Posted on 2019/06/25 Tue. 11:03 [edit]

category: 山口むかし話

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