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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

落ちた雷 

落ちた雷


八代の山の中の里には、天徳曇天(テントクドンテン)さまというえらいお坊さんの開いた、太陽寺という古いお寺があります。

ある日、にわかに夕立がきたかと思うと、お寺の庭に、われるような音をたてて雷が落ちてきました。

テントクドンテンさまは、雷にも負けない大きな声で、「おつちッ」と雷に呼びかけられました。
すると、どうしたことでしょうか。雷は急に力がぬけて、その場にはいつくばってしまいました。

「おつち」というのは女の人の名前ですが、雷は名前をつけられると、天にかえる力を失ってしまうのだそうです。
テントクドンテンさまはそれを知っており、雷が落ちてきた間一髪をはずさず、雷をいけどってしまわれたのです。

こうして雷はおつちとよばれて、そのお寺で奉公することになりました

テントクドンテンさまは、
「しばらくこの寺で修業してから天にかえるがよい、そうした方が天の雷一族にも、申し開きができるじゃろう」
といわれたので、その日から毎日、八代の里のはずれまで水をくみに通いつづけておりました。

ある晩のこと、テントクドンテンさまの夢枕に、天から雷の子供がおりてきて、
「テントクドンテンさま、あなたのところで水をくんでいますのは、わたくしの父でございます。どうぞ一日もはやく天にもどしてくださいませ」
と涙ながらにたのむのでした。

テントクドンテンさまは、目が覚めても夢だと思えず、また、親を思う子のこころをあわれと思い、さっそく雷のおつちをよんで、夢の話をかたって聞かせました。

すると、おつちは、
「実はわたくしも息子の夢を見ました。息子が申しますには、
お父さんも水くみがえらかろう。わたくしから和尚さまにお願いしてあげるから、天にかえしてもらうとよい。
それには水のくみ手がいろうから、お父さんが天にもどってくるとき、お寺の裏庭の岩に爪をかけてのぼりなさい。
その爪あとから年中清水がわきだすように、仏様にとりはからってもらいましょう。
というのでございます」と申しました。

この話を聞いて、テントクドンテンさまは、はたと、ひざをたたいて、
「かえれ、おつちッ」と大声をかけられました。

そうすると、大雨がザァザァとふりはじめ、雷のおつちは、裏庭の岩にガッと爪をかけると大地をけって、またたくまに天にのぼってしまった、ということです。

このときからふきだした岩間の水が太陽寺の「雷水」とよばれているもので、どんなに照ってもこの清水のおかげで、お寺では水の心配がさらさらないということです。

太陽寺の「雷水」のいわれ(熊毛郡)


山口銀行編纂 山口むかし話より転載

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Posted on 2019/06/06 Thu. 11:42 [edit]

category: 山口むかし話

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