彦島のけしき
山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…
もぐらの婿さがし
もぐらの婿さがし
むかし、むかし、一人娘をもったもぐら夫婦がおりました。
もぐら夫婦は
「わしらあ、土をほって暮らすだけじゃで、せめて、かわいい娘なりと、どこか上のほうのものにやりたいもんじゃのう」と、つねづね考えておりました。
「一番上ちゅうと、お天道(てんとう)さんじゃろう」
そこで、モグラ夫婦は、お天道さんのところへ行って
「あんたより上のものはないそじゃけ、うちの娘をもろうてくだされい」と、頼みました。
すると、お天道さんは
「わしよりまだ上には、黒雲(くろくも)がおる。わしがどんなにてらしちょっても、黒雲がくりゃあ、かなわんけえの」と、言いました。
そこで今度は、黒雲のところへ行き
「お天道さんが、あんたのほうが上じゃとおしえてくれたけえ、娘をもろうちゃくれまいか」
そう、頼んだところ、黒雲は
「いやいや、わしより上は風じゃ。風がふきゃあ、わしはすぐとんでしまう」
と、言いました。
もぐら夫婦は、さっそく風のところへ行き
「娘をもろうてくだされい」と、頼みました。
すると、風は
「いやあ、わしも練塀(ねりべい)にゃあ、どねえしょうもない。わしの風がなんぼふいても、練塀が邪魔(じゃま)すりゃあ、かてんけえの」と、言いました。
上には上があるものじゃと、もぐら夫婦は感心して、練塀のところへ行きました。
「練塀さん、うちの娘をもろうてくだされい」
また頼むと、練塀は
「いやいや、わしがこねえに立っちょっても、もぐらから下をほじくられたら、じきに倒れてしまうけえ、もぐらの方が上じゃ」
と、言いました。
すると、もぐら夫婦は
「へえ、そいじゃあ、わしらが一番上で、えらいっちゅうことになるんじゃあないかいや…」と、言いました。
そして、もぐら夫婦は、とうとう、娘を、自分たちと同じもぐらの家へ嫁にやった、ということです。
(豊浦郡)
山口銀行編纂 山口むかし話より転載
むかし、むかし、一人娘をもったもぐら夫婦がおりました。
もぐら夫婦は
「わしらあ、土をほって暮らすだけじゃで、せめて、かわいい娘なりと、どこか上のほうのものにやりたいもんじゃのう」と、つねづね考えておりました。
「一番上ちゅうと、お天道(てんとう)さんじゃろう」
そこで、モグラ夫婦は、お天道さんのところへ行って
「あんたより上のものはないそじゃけ、うちの娘をもろうてくだされい」と、頼みました。
すると、お天道さんは
「わしよりまだ上には、黒雲(くろくも)がおる。わしがどんなにてらしちょっても、黒雲がくりゃあ、かなわんけえの」と、言いました。
そこで今度は、黒雲のところへ行き
「お天道さんが、あんたのほうが上じゃとおしえてくれたけえ、娘をもろうちゃくれまいか」
そう、頼んだところ、黒雲は
「いやいや、わしより上は風じゃ。風がふきゃあ、わしはすぐとんでしまう」
と、言いました。
もぐら夫婦は、さっそく風のところへ行き
「娘をもろうてくだされい」と、頼みました。
すると、風は
「いやあ、わしも練塀(ねりべい)にゃあ、どねえしょうもない。わしの風がなんぼふいても、練塀が邪魔(じゃま)すりゃあ、かてんけえの」と、言いました。
上には上があるものじゃと、もぐら夫婦は感心して、練塀のところへ行きました。
「練塀さん、うちの娘をもろうてくだされい」
また頼むと、練塀は
「いやいや、わしがこねえに立っちょっても、もぐらから下をほじくられたら、じきに倒れてしまうけえ、もぐらの方が上じゃ」
と、言いました。
すると、もぐら夫婦は
「へえ、そいじゃあ、わしらが一番上で、えらいっちゅうことになるんじゃあないかいや…」と、言いました。
そして、もぐら夫婦は、とうとう、娘を、自分たちと同じもぐらの家へ嫁にやった、ということです。
(豊浦郡)
山口銀行編纂 山口むかし話より転載
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