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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

手取り鑵子 

手取り鑵子(てとりかんす)


 西山の海岸は、新生代第三紀層(約三千万年前)から成って居り、奇岩怪奇勝の連続ですが、あまり知られてはいません。
 青海島よりも、また、東尋坊よりも、そりゃ素晴らしい、と島の古老たちは自慢しています。

 その、西山の舞子島の近くに『手取りカンス』と呼ばれる怪崖の洞窟があります。多年の風化作用によって、穴の中にはいろいろな形をしたものがぶらさがっています。

 むかし、その中に、茶釜そっくりのものがぶらさがっていて、まるで金で作られたもののように、キラキラ光っていました。
 里びとたちは、これは神様が作って下さったものだ、と有り難がって日夜、参拝を欠かさず大切にしていましたが、ある日、小倉平松の漁師がこれを見つけました。
『この茶釜は見事だ。持って帰って家の宝にしよう』
 と、茶釜をもぎ取り、船に積んで帰りかけたところ、俄かに海が荒れて、漁師も急に腹痛をもよおし、ガマン出来なくなってしまいました。

 恐れおののいた漁師は、茶釜を海に投げ捨て、大急ぎで小倉へ帰りました。すると不思議なことに、嵐も腹痛もおさまったということです。

 このあたりでは、茶釜のことを『鑵子』とも言いますので、その後、この岩屋のことを、誰いうとなく『手取りカンス』と呼ぶようになったと言われています。


富田義弘著「平家最後の砦 ひこしま昔ばなし」より

(注)
この話は『馬関太平記』では、小倉の長浜の漁師、となって居り、さらに、茶釜では無く、『叩けばガンとなる鐘がさがっていた』と書かれている。しかし、あとの話は殆ど同じである。
尚、鑵子については、古老たちはいずれも『茶釜のことを彦島ではカンスと云うておったが…』と付け加えている。
しかし、鑵子は茶鑵とも呼ばれ、茶の湯に使う茶釜のことである。別に真鍮のものもあるようだ。従って『カンス』は、何もこの地方の方言ではないわけである。

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Posted on 2020/02/15 Sat. 09:42 [edit]

category: ひこしま昔ばなし

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