05 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.» 07

彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

厚狭の寝太郎 

厚狭の寝太郎


むかし、厚狭の庄屋さんに、寝太郎と呼ばれる 寝ることの好きな息子がおりました。

三年と三月を寝て暮らしたある日のこと、寝太郎はひょっこり起きてきて、
「お父さん、わしに千石船を一そうつくってつかぁさい」と、やぶから棒にせがみました。

「千石船をつくれとな。夢の続きでもみちょるんかい」と、父親の庄屋さんは相手にしませんでしたが、
「わしゃぁ、本心じゃ。たのむけぇ、千石船をつくってつかぁさい」と、寝太郎は真剣なので、庄屋さんは根負けして千石船をつくってやりました。

すると、こんどは、
「あの千石船いっぱいのわらじを買ってつかぁさい」と、せがみました。
「買うちゃらんこともないが、どうするんな」と、わけをたずねても寝太郎はせがむばかりです。
庄屋さんはわけの分からないままわらじを集めさせると
「わらじを千石船につんで、水夫をやとうてつかぁさい」と、せがみました。
水夫が集まると、寝太郎はよろこんで船にのりこみ、厚狭の入江を船出しました。

船は玄海の荒海から日本海へと進んでゆきました。
こうして二十日ばかりたったある日のこと、船はゆくてに大きな島影をみつけました。
それは名高い佐渡ヶ島だったのです。

港に船をつけると、さっそく寝太郎は人々を呼び集めて、島の人がはきふるした古いわらじを、積み荷の新しいわらじと取り替えはじめました。

千石船が古いわらじでいっぱいになると、
「さあ、用事は済んだ」と寝太郎は張り切って島を出ました。

家に帰るとすぐ、寝太郎は
「お父さん、できるだけ大きな桶(おけ)をつくってつかぁさい」と、せがみました。
庄屋さんは寝太郎が帰ってきてくれたうれしさに、さっそく大きな桶をつくらせました。

寝太郎は桶に水をいっぱいはらせ、古いわらじを中にどんどん入れました。
これを見て、さすがの庄屋さんもたまげてしまいました。

しかし、寝太郎は何日も水夫たちと、わらじの土をきれいに洗い落とす作業を続けました。

そして、桶(おけ)の水をくみすてるとたくさんの土が見えてきました。
その土をよく見ると、きらきらと光るものがあるではありませんか。

「金じゃ、金の砂じゃ」と、みんなは大変喜びました。
わらじの砂は金の砂と分けられて、庄屋さんの屋敷へどんどん運び込まれました。
こうして寝太郎は大金持ちになりました。

そのころ、金山で名高かった佐渡ヶ島では、一にぎりの砂も持ち出すことは固く禁じられていたのです。
寝太郎は、この佐渡島の金をどうやって持ち出そうかと、三年と三月も寝て考えたすえに、この黄金を手に入れたのでした。

寝太郎はこのお金で、千町田と呼ばれる水田をつくりあげ、村の百姓衆に分けてやりました。
今では村の人達に寝太郎さまといわれ、神さまにまつられるようになった、ということです。

(厚狭郡)


山口銀行編纂 山口むかし話より転載
関連記事

Posted on 2019/05/15 Wed. 08:21 [edit]

category: 山口むかし話

TB: --    CM: 0

15

コメント

Comment
list

コメントの投稿

Secret

Comment
form