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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

左眼が細い 

左眼が細い


 今から八百年も昔の話。

 ある秋風の身に沁む夕刻、里の西南の海から、一筋の光が立ちのぼっているのを漁師が見つけた。漁師は早速、島の人びとに知らせ、人びとは河野通次にも報告した。
 大急ぎで駆けつけた通次は、矛を片手に海中に飛び込み、光を指して泳いだ。そして、その中ほどに矛を突きさすと、八幡尊像があがって来た。尊像の背面には、河野八幡、と刻まれていたが、いたわしいことに、矛は尊像の左眼を貫いていた。

 さっそく通次は舞子島に祠を建て、光格殿と名付けて島の守り本尊にしたが、そり以来、彦島の十二苗祖と呼ばれる人びとは、代々、現在に至るまで左眼が細いといわれている。


富田義弘著「平家最後の砦 ひこしま昔ばなし」より
(注)
『サイ上り神事』が明鏡であるのに対し、こちらは『八幡尊像』となって居り、しかも『河野八幡』と彫られてあったという所が、どうも出来すぎている。
 また『左眼が細い』という話の他に、『右眼が二重瞼であるのに対し左眼は一重である』と伝える説もあるようだ。
『硯海の楽土』という本によれば、明鏡を引き揚げたのは矛という記録と網であったという記録とがあるという。
 しかし、『サイ上り神事』や、『左眼が細い』などの伝説を尤もらしくさせる為には、やはり『網』でなく、『矛』でなければならないだろう。
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Posted on 2019/12/04 Wed. 10:16 [edit]

category: ひこしま昔ばなし

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