彦島のけしき
山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…
海峡のタコ壷漁
海峡の自然
海峡のタコ壷漁
関門海峡のタコは、やわらかく、とくにおいしいといわれています。
それは、流れの速い潮で育っているからでしょうか。
海峡でタコ壷漁をする、安岡漁協のみなさんにお聞きした話です。
漁船一隻が、700個のタコ壷を海峡に沈めての漁です。
漁の方法は、長い綱に、3、4メートル毎にタコ壷を取り付け、次々に海峡に沈め、二日に一回引き上げます。
700個のうち、百二三十個にタコが入っているとのことで、確率は約二割です。
沈めた綱にはウキは付いていません。
それは、一日に行き交う船舶が700隻もある海峡では、ウキにぶつかることになるからでしょう。
では、沈めた綱の位置をどうして確認し、引き上げるのでしょうか。
タコの好漁場には10隻もの漁船が集中し、他の船が沈めた綱が、10メートルほどに近接していることもあるものの、決して他の船の綱を間違って引き上げることは許されません。
位置の確認は、「山たて」という方法です。
海上では常に行われるもので、例えば、前方に見える山の山頂と、工場のエントツを結ぶ延長線と、自分の船を結び、右に見える島の端と、山の松の木を結ぶ延長線で自分を結ぶ、その位置がポイントになります。
タコ壷漁でのポイントは、綱の先端から二個目の壷のところを引き上げることにあります。
引き上げるにはスマルという道具を沈め、引っ掛けて上げます。
他の船の綱を引き上げることが無いようにするには、正確な位置の確認が、技量として求められるのです。
スマルという道具は、金属製で、釣り針の形をした大きなものを3、4本結んで束にしたものです。
古くは家庭の井戸で、あやまって井戸に落としたツルベを引き上げるために使った道具でもあります。
引き上げ作業を始めると、綱をゆるめることなく一気に引き上げなければなりません。
少しでもゆるめると、そのときに、タコが壷から逃げ出すため、700個ものタコ壷は、船上の巻上げ機で一気に引き上げられます。
タコはきれい好きで、なめらかな肌の壷に入るそうです。
安岡漁協の岸壁では、小春日和の中に何千個ものタコ壷を並べ、金属のヘラで一つずつ、壷の内部についたカキガラなどを、丹念にけずり落とす作業風景が見られます。
早春の二月、イカ柴漁の開始まで、タコ壷漁は続きます。
おいしいタコをいただくとき、タコ壷漁を思い出してはいかがでしょうか。
安富静夫著「関門海峡雑記帳」(増補版)より
海峡のタコ壷漁
関門海峡のタコは、やわらかく、とくにおいしいといわれています。
それは、流れの速い潮で育っているからでしょうか。
海峡でタコ壷漁をする、安岡漁協のみなさんにお聞きした話です。
漁船一隻が、700個のタコ壷を海峡に沈めての漁です。
漁の方法は、長い綱に、3、4メートル毎にタコ壷を取り付け、次々に海峡に沈め、二日に一回引き上げます。
700個のうち、百二三十個にタコが入っているとのことで、確率は約二割です。
沈めた綱にはウキは付いていません。
それは、一日に行き交う船舶が700隻もある海峡では、ウキにぶつかることになるからでしょう。
では、沈めた綱の位置をどうして確認し、引き上げるのでしょうか。
タコの好漁場には10隻もの漁船が集中し、他の船が沈めた綱が、10メートルほどに近接していることもあるものの、決して他の船の綱を間違って引き上げることは許されません。
位置の確認は、「山たて」という方法です。
海上では常に行われるもので、例えば、前方に見える山の山頂と、工場のエントツを結ぶ延長線と、自分の船を結び、右に見える島の端と、山の松の木を結ぶ延長線で自分を結ぶ、その位置がポイントになります。
タコ壷漁でのポイントは、綱の先端から二個目の壷のところを引き上げることにあります。
引き上げるにはスマルという道具を沈め、引っ掛けて上げます。
他の船の綱を引き上げることが無いようにするには、正確な位置の確認が、技量として求められるのです。
スマルという道具は、金属製で、釣り針の形をした大きなものを3、4本結んで束にしたものです。
古くは家庭の井戸で、あやまって井戸に落としたツルベを引き上げるために使った道具でもあります。
引き上げ作業を始めると、綱をゆるめることなく一気に引き上げなければなりません。
少しでもゆるめると、そのときに、タコが壷から逃げ出すため、700個ものタコ壷は、船上の巻上げ機で一気に引き上げられます。
タコはきれい好きで、なめらかな肌の壷に入るそうです。
安岡漁協の岸壁では、小春日和の中に何千個ものタコ壷を並べ、金属のヘラで一つずつ、壷の内部についたカキガラなどを、丹念にけずり落とす作業風景が見られます。
早春の二月、イカ柴漁の開始まで、タコ壷漁は続きます。
おいしいタコをいただくとき、タコ壷漁を思い出してはいかがでしょうか。
安富静夫著「関門海峡雑記帳」(増補版)より
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