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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

舟島怪談 

舟島怪談


 舟島というのは、江ノ浦と弟子待の沖合に浮かぶ巌流島のことです。
 慶長十七年(1612年)春、佐々木小次郎と宮本武蔵がこの島で雌雄を決して、巌流島と名付けられました。

 むかしから、平家びいきと言われるこの地方の人びとのことですから、敗れた小次郎の死をいたみ、哀しんで付けたものでしょう。
 そののち、この島には、小次郎の墓も建てられたと言いますが、いつのまにかなくなり、幕末の頃、吉田松陰が立ち寄った嘉永年間には、また建てられてあったそうです。
 現在、この島には、小次郎の墓と呼ばれる碑が建っていますが、これは明治年間における巌流島拡張工事の際のものです。

 舟島には、小次郎の怨霊を思わせるような怪談が、たくさん残されています。
 それは、俗に『舟島怪談』と呼ばれる一連の話ですが、不気味な中にも、小次郎の死をいたむ人びとの、憐れみや思いやりのようなものが感じられます。
 それらの話の幾つかは、昔、弁天座や稲荷座のお盆興行で、前座に使われたこともある程、かなりたくさん伝えられていたそうですが、今では殆ど、すたれてしまいました。



舟島怪談 青い火


 毎年、お盆の八月十六日、月が西に沈むと、舟島から青い火がすーっと空に舞いあがります。そして小倉のほうへ、ほわりほわりと流れて行くのです。
 すると、それを待ちかねていたかのように、小倉の空からも同じように青い火がすーっと飛び立って、こちらへやって来ます。
 二つの青い火は、大瀬戸の海の上で、もつれ合うように、あがったり下がったりしますが、やがて、ぐるぐる回りはじめます。そして、ぶっつかっては消え、またぶっつかって、それが小半刻もつづくのです。

 だから彦島の海べりの人びとは、その夜だけは早くから戸を閉めて寝込むのが習慣になりました。しかし、中にはこわいもの見たさで、とざした戸のすき間から、恐る恐る青い火を見ようとする人も居ましたが、そんな人は必ず病気になったと伝えられています。


富田義弘著「平家最後の砦 ひこしま昔ばなし」より

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Posted on 2017/05/30 Tue. 12:11 [edit]

category: ひこしま昔ばなし

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