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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

身投げ石 

身投げ石


 海士郷桟橋の裏手の丘は、小戸山と呼ばれています。その北側の中腹、小瀬戸海峡に突き出たあたりに、大きな岩が海面からそそり立っています。
 それが伝説で名高い『身投げ石』で、岩の上には幾つもの五輪塔やお地蔵様がまつられています。
 むかし、壇ノ浦の合戦のあと、平家の一武将の妻が海峡の潮に流されて、小戸の浜に打ち上げられました。
 不思議に一命をとりとめた妻は、御裳川の藻屑と消えた夫を慕って毎日、小戸の岩にのぼり、武将の名を呼び叫んでは泣きつづけました。
 再び戻って来る事の無い夫を呼ぶその姿に、浦びとも、つい貰い泣きする始末でした。
 ある風の吹きすさぶ夕暮れのこと、女は、狂乱したように大岩にかけのぼって、東を伏し拝みました。そして、大声に何かを叫んだかと思うと、そのまま渦巻く小瀬戸の流れに身を投げてしまいました。
 浦びとは、女の死を悲しみ、岩のそばに小さな祠を建てて供養しました。
 その後、誰いうとなく、大岩のことを『身投げ石』と呼ぶようになったということです。



富田義弘著「平家最後の砦 ひこしま昔ばなし」より
(注)
 下関と彦島を隔てる海峡は、正しくは、小瀬戸海峡であるが、一般には、小門海峡と呼ばれている。
 そして、下関側の伊崎には『小門』という地名があり、その対岸、彦島の地名は『小戸』である。どちらも『おど』と呼ぶ。

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Posted on 2019/03/20 Wed. 10:42 [edit]

category: ひこしま昔ばなし

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