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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

茶山口のお地蔵さん 

茶山口のお地蔵さん

下関の人々には、神社や仏閣、あるいは辻々の野仏などをさんづけで呼ぶ習慣がある。
だから大歳神社は大歳さんで、赤間さん、住吉さん、八幡さん、光明寺さんと親しげである。

その大歳さんの石段を十段ばかり下って左に20メートル、更に左へ折れ右に折れて坂を下ると「お地蔵さん」の祠に出る。
いつお詣りしても必ず線香が燃えていて何人かの信者が祈っている。
それもほとんどが女性だからその方面に効能があるのかもしれない。
そのことを信者の一人に訊ねてみると、どんなことでも聞いてくださいますよ、という返事が返ってきた。

だが不思議なことに、このお地蔵さんの名前を知る人がいない。
二十年も三十年も前からここにお詣りしているという老婆でさえも「このお地蔵さんは、お地蔵さんという名前で、他にはありませんよ」と、今更変なことを聞くなとでも言いたげであった。

そしてある老女などは別に願い事があって参詣するのではなく、昨日も無事でしたとお礼にきているんだ、と嬉しそうに話してくれるのである。
そんな所に本当の素朴な信仰の姿が感じられるお地蔵さんだがずいぶん昔のこと、ぶらたん氏は何かの本で、このお地蔵さんと法正院との関係について読んだような気がする。

法正院は新地の上条にあるので、出かけて行って訊ねればよさそうなものだが、知りたいと思いつつ何年も過ごしてしまう魅力も捨てがたいから厄介だ。

この地蔵堂には多くの仏像が祀られているが正面の地蔵尊が最も大きく、黒くつやつやと光ったお顔はたくましい。
そして右脇に四体と入口の両側には各三体の地蔵尊が向き合って座っていらっしゃる。
「抱え地蔵」と書かれた木札もある。
その他には観音、阿弥陀、釈迦、仁王、大日、不動明王など、小さな仏像群が線香の煙をあびて、次々に訪れる信者たちにご利益を施しておられる。


冨田義弘著「下関駅周辺 下駄ばきぶらたん」
昭和51年 赤間関書房
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Posted on 2018/09/13 Thu. 09:32 [edit]

category: ぶらたん

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