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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

赤田代のキツネ 

赤田代のキツネ


内日の赤田代に、気位の高い一人のおじいさんが住んでいました。
おじいさんの身分は士族でしたので、そのあたりの人は、おじいさんのことを
「だあさん、だあさん」と、呼んでいました。

ある日、だあさんが山に行って炭窯の中で木立をしていると、窯の口から自分をのぞいていたものがいます。
よく見ると、それはキツネでした。だあさんは下種のものから覗き見されたことに、ひどく腹を立て、立木を手にしてはだしのままキツネを追いかけました。
どんどんキツネを追いかけて、ひと山越えた一ノ瀬でキツネに追いつき、キツネを叩き殺しました。

だあさんは、殺したキツネを自分で食べるのはいやなので、長府の毛利の殿様のおかかえ猟師で鉄砲の名人で、近所のばんえむさんのところに持って行き、
「食べてくれ」と言って、キツネをばんえむさんにあげました。

ばんえむさんは、もらったキツネを明日にでも料理しようと、長屋の背戸の柿の木にぶら下げておきました。
そこに近所のおばあさんがやって来ました。ばあさんは吊るされたキツネを見て、哀れに思い、
「なんでもいけんことしたなあ」と、キツネの頭を手でさすってやりました。

ところが、その夜、おばあさんが行灯の油を、ぴたぴた、ぴたぴたと舐めはじめました。
そのおばあさんの姿が障子に影絵のように写し出されたので、近所の人たちはびっくりしました。

そこで太夫さんの役をもっている、幸吉じいさんがお祈りをして、おばあさんに乗り移っているキツネに、
「お前をお祀りしてやるから、このおばあさんから逃げておくれ」
といったところ、おばあさんはすっかりよくなりました。

そのキツネの霊を祀った石が、今でも紺谷の山に残っています。


(注)
この話が変っているのは、キツネを殺したじいさんに付かなくて、哀れみをかけたおばあさんにキツネが付いたことです。
悪い人は力が強いのでキツネも付くことかできず、かえってやさしく弱いおばあさんにすがって付いたのでしよう。
なお、この話は、中西輝磨さんが内日の今田吉人さんから聞いたものです。
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Posted on 2020/07/20 Mon. 13:09 [edit]

category: 下関の民話

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