06 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 08

彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

白蛇の家 

白蛇の家


白蛇は、日本全国でも岩国だけに生息しており、天然記念物に指定されていますが、その珍しい白蛇が、吉田の埴生口、木藤という家におりました。

木藤さんの家は、吉田で三軒の中に入る大きな農家で、下男下女を十人も使っていました。
この木藤さんの納屋の石垣に白蛇がいて、夏になると、時々姿を見せるので、人々は木藤さんの「金の神」と云っておりました。
そんな大金持ちの木藤さんでしたが、毎日朝早くから田畑に出で、使用人と一緒に汗を流して働いておりました。

その木藤さんに一人の道楽息子、愚太郎兵衛がおりました。
愚太郎は畑仕事はせず、毎日料理屋にいりびたり、
「酒に肴は、よいしょこしょ、仕事に麦飯や、嫌のさっさい」
と三味線にあわせて踊っていました。
「おやじなど金に使われている。だが、俺は違う。金は使うためにあるのじゃ。…ウンンあの白蛇が金の神か、あんなのは迷信ちゅうもんじゃろう…」
というわけで、二十歳が過ぎても親の意見を耳に入りませんでした。

そして、親が亡くなると、じき田畑を売りはじめました。
ある日、下男の小四郎が牛馬に餌をやっていると、主人の愚太郎が、白蛇のすんでいる納屋の石垣に湯水をかけています。
石垣からは、白蛇がぞろぞろ逃げ出しました。
「金の神様に、どうしてそんなことを」
と、小四郎が云うと、愚太郎は、
「金の神様か、フン、おれは蛇が大嫌いじゃ、あの目を見ると一日中飯に味が無い。あんな蛇が好きなら、どうぞ連れて行っておくれ…」
と、云ったので、小四郎は逃げ出したたくさんの白蛇をかますに入れて、自分の住んでいる掘立小屋に運びました。

小四郎はその後、主人の愚太郎から独立して、一生懸命働き大金持ちになりました。
小四郎の子孫は、代々金回りが良かったということです。


(注)
このお話は、浦上豊著「下関昔話・吉田の巻」の中にのっている、吉田地区に語り伝えられてきたお話です。


『下関の民話』下関教育委員会編
関連記事

Posted on 2020/07/13 Mon. 13:36 [edit]

category: 下関の民話

TB: --    CM: 0

13