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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

御影の井戸 

御影の井戸


「こち吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ」
で有名な菅原道真公が、延喜元年に九州大宰府に流されました。

菅原道真公は、平安時代のすぐれた学者であり、また政治家でもありました。
字の上手なことでは小野小町、弘法大師と、並んで有名でしたが、藤原氏のねたみを受けて、くらいを落とされてしまいました。
その流される途中に、豊浦の津に上陸され、忌宮神社の大宮司家におとまりになりました。
四、五日休養されたあと、やがて出発の日が近づいてきました。海峡をひとまたぎすればいよいよ本土ともお別れです。
しかし海を渡るということだけで、また都への距離がずいぶん離れていく感じがします。
道真公は、出発される前の日、壇具川ぞいをひとりで歩かれました。
そして勧学院におはいりになり、そこの庭にある井戸に自分の姿を映してみました。
そうすると、なんだかひどく淋しい気持ちになってきて、水にうつった自分の顔にむかい、
「都を離れてすでに百日以上になる、ずいぶんやつれた姿になったな、しかし、もう二度と、この土地にくることはなし、この井戸で、私の顔を見ることもあるまい」
と、筆と紙をとりだし、自画像を書きはじめました。

こうして道真公は、大宰府に渡られ、学問の神様として、受験シーズンになるとたくさんの人がおまいりしています。

そして、道真公がのぞかれた井戸は“御影の井戸”と呼ばれ、この井戸をのぞいたものは、目がつぶれるという言い伝えが残りました。


『下関の民話』下関教育委員会編
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Posted on 2020/07/02 Thu. 09:21 [edit]

category: 下関の民話

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