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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

キツネのくれた刀 

キツネのくれた刀


むかし、内日の東高地に渡辺という家がありました。
貧しい家でしたが、その家の「やそう」という人は大変に情け深い人でした。

ある年の十二月の暮れに、近くの町で開かれる市へ買い物に行くために峠にさしかかったとき、子ども達が一匹のキツネの子を捕らえて、引き回しているのに出会いました。
情け深いやそうは、
「かわいそうだから、放してやってくれ」と言いましたが、子ども達が聞いてくれないので、
「それではお金で買うから売ってくれないか」と頼むと、子ども達は望みの金額を言いました。
貧しいやそうは、少ししかお金を持っていませんでしたから、キツネの子を買えば、町で買い物をするお金がなくなってしまいますが、それでもやそうは子キツネを買い取って逃がしてやりました。

それから何日かすぎた夜のことです。寝ているそばで、
「子どもを助けていただいてありがとうございました。お礼に刀を置いて帰りますので大切にしてください」
と、いう声がしたように思えて、目がさめましたが、キツネの子のことかなと思いながらも気にもとめずに朝を迎えました。
やそうは朝になって縁側に出て驚きました。
そこには一振りの立派な刀が置いてあったのです。

このことがあってから、たちまち渡辺家は金持ちになり、近くの小川を渡るのに、千両箱を飛び石のかわりに使ってもよいといったほどに栄えました。

ところが、それから何代かえとに、心がけの悪い息子がいて、この刀を持ち歩いて人々に見せびらかし、ある時遊びに行った先で刀を盗まれてしまいました。
それからというもの、渡辺家は次第に貧しくなり、家も絶えてしまったということです。


(注)
この話は、山田春男さんが、内日の岩本正日さんから聞いたものです。


『下関の民話』下関教育委員会編
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Posted on 2020/06/17 Wed. 09:50 [edit]

category: 下関の民話

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