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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

農業者の団体組織と生産進歩の過程5 

農業者の団体組織と生産進歩の過程5


彦島に温室栽培を取り入れた動機は、西部地区に大正5年に日本金属が亜鉛の精錬工場を建設して亜硫酸ガスが発生し、それが拡散して作物が出来ないようになり、はなはだしい所では土地に染み込んで草木も枯れていくようになりました。
この煙害対策として考え出したのが温室で、迫・西山地区を始め彦島各地で建てられるようになりました。

最初に温室栽培を始めた人は、富田岩吉氏であります。
富田氏が永年にわたる試験栽培の結果、良い結果を得たので本格的な生産に取り組み、彦島各地の農家に広めたのであります。
初めはメロンやキュウリなど種類は少なかったのであります。

この温室も戦争末期に2500坪近くあったものが、軍の司令で8割がガラスの徴発を受けたため、また頓挫をきたしておりました。
これを昭和25年頃から漸次増築して、現在では以前に勝る3000坪以上となり、菊などの花卉栽培を取り入れ、西部地区のみでなく彦島全域の農業経営に役立っているわけであります。


古老が語る郷土の今昔「ひこしま発展誌」より
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Posted on 2019/02/27 Wed. 11:01 [edit]

category: ひこしま発展誌

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羽根石 

羽根石


 現在の大和町と東大和町一帯、つまり下関駅から西側、漁港も商港も、すべて海であったころの話。

 弟子待沖からこの辺りは、海峡の急流に洗われた大小岩礁の連続で、瀬戸の難所と言われていました。その中ほどに『沖の洲』と呼ぶ大きな平洲があり、東側には大岩の瀬が波間に頭を見え隠れさせていました。

 むかし、太閤秀吉は大阪城築城の際、全国の諸大名に命じて石を集めさせました。その時、九州からも多くの石船がこの海峡をのぼって行きましたが、その中の一隻は、沖の洲の瀬に座礁して動かなくなってしまいました。
 そこで、積み石の幾つかを海に投げ捨てて船を浮上させようとしましたが、どうしても瀬から離れることが出来ません。
 船頭たちは思いあまって、岩礁の中の一番大きな岩の頭を刎ねてみました。すると、石船はようやく浮き上がって大阪へ向かうことが出来ました。

 それでも、沖の洲の東側の大岩は、干潮の時にはその頭が見えましたが、これを人びとは『刎ね石』と呼ぶようになりました。
 そして、いつのまにか『羽根石』にかわってしまったと伝えられています。


富田義弘著「平家最後の砦 ひこしま昔ばなし」より

(注)
羽根石のあった沖の洲は、内務省による大和町埋め立ての際に姿を消し、石船から海中に捨てられた大石群は、昭和四十三年、第四港湾によって引き揚げられ、現在は赤間神宮境内に『太閤石』と名付けられて保存されている。
但し、同神宮の『太閤石由来文』はこの話といささか異なるようである。
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Posted on 2019/02/27 Wed. 10:38 [edit]

category: ひこしま昔ばなし

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片目の虻 

片目の虻


豊浦町黒井と内日とにまたがって620メートルの鬼が城という山があります。

むかし、むかし、この山に大江山の酒呑童子の一の子分といわれる霞隠鬼が逃げ込んできました。
この山の頂上に石で城を築き、洞窟を造りました。鬼は、この洞窟を鬼の穴と名前をつけ、しだいに里におりては、食物をかっぱらったり、牛や鶏を殺しては、穴に運びいれました。
食べ物が無くなると、また里におりては悪いことをするので、村人たちは、五人一組で夜回りを始めましたが、なにしろ相手はすばしこく、せっかく見つけても取り逃がすばかりです。
といって、村人たちで、鬼が城を攻める勇気もありません。村人たちの中には、とうとう恐ろしくなって引っ越すものもでてきました。

鬼の方も、だんだん悪いことになれて、昼間から里に姿を現すようになりました。
ある日、鬼が大歳神社のそばを通りかかり、宮司の家を覗き見したところ、そこに宮司の娘、登葉が針仕事をしていました。
さあ鬼は、この登葉に一目ぼれしてしまいました。
それもそのはずです。登葉は、村でも評判の美しい娘でしたから。

それからというもの、毎晩のように鬼は里に出て、登葉の部屋をのぞき、登葉を一目見たときは、おとなしくして鬼の穴に戻り、登葉がいないときは、村中を荒らしまわって帰りました。
村人たちもしだいに鬼の習性を知って、
「登葉さんには気の毒だが、村のためを思って、いっそのこと鬼のお嫁さんになってはくれまいかのう」
と、かげで話し合うようになりました。

こうした村人たちの声が登葉と父親の耳にも入りました。
そこで親子は、ある計画をたてました。
「登葉や、うかうかしていると、村人たちは無理やりにでも、お前を鬼の嫁にしてしまうぞ、それよりも先に鬼のやつがお前をさらいにくるかもしれん。どちらにしても、鬼をどうにかして退治するほかに助かる道はない」
「それならお父さん、私は今晩一番きれいな着物をきて、念入りにお化粧します。鬼がのぞきにきたとき、おりをみて矢で射殺してください」

夜がきました。丸いお月様が鬼が城の上にポッカリ浮かんでいます。
月の光をあびて、登葉は、また一段と美しく見えましたが、心の中は、恐ろしくて恐ろしくてたまりませんでした。
しだいに鬼の足音が近づいてきます。父親は、弓に矢をつがえて部屋のすみで様子をうかがっていますが、足がガクガクしてきて、落ち着かなくなってきました。
もし失敗して鬼を怒らせば、自分は殺され、登葉はきっとさらわれるにちがいありません。

やがて、格子のすき間から大きな眼がのぞきました。
さいわい鬼は、登葉の美しい姿に見とれて父親が矢をつがえて待っていることに気がついていないようでした。
父親は、大きく呼吸をすると、鬼の眼に狙いを定め、パッと矢を放つと確かに手ごたえがあったとみえて、鬼はギャーといって地面をのたうち回りました。

あくる日、こわごわのぞいてみますと、血が点々と鬼が城の山頂までつづき、鬼の穴で片目に矢が突き刺さったままで死んでいる鬼をみつけました。


それいらい、この土地の虻(あぶ…ハエより少し大きい昆虫)は、不思議なことにみな片目で、村の人たちは、片目を射られて死んだ鬼が、虻に化身したのだろうと噂しました。


『下関の民話』下関教育委員会編
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Posted on 2019/02/27 Wed. 10:20 [edit]

category: 下関の民話

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