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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

桂川(かつらがわ)の餅屋の娘 

桂川(かつらがわ)の餅屋の娘
京都府の民話


 むかしむかし、京の町はずれに住む夫婦に、ようやく赤ちゃんが授かりました。
 長い間子どもが出来ずにあきらめかけていたので、二人はとても大喜びです。

 さて、お腹の赤ちゃんがそろそろ産まれそうになると、男は心配で心配でいてもたってもいられず、丹波(たんば)の老ノ坂(おいのさか)にある子安地蔵(こやすじぞう)に安産をお願いに行きました。
「子安地蔵さま。どうか子どもが、無事に生まれますように」
 するとそこへ、別のお地蔵さんがやって来て言いました。
「子安地蔵さま、わたしの知り合いに難産でひどく苦しんでいる母親がいます。どうか一刻も早く、あの母親を救ってやって下さいませ」
 一度に二つの頼み事をされた子安地蔵は、困ってしまいました。
「はてさて、我が身は一つだから、同時に二人の願いを聞いてやることは出来ない。
 一体、どうしたものか?」
 子安地蔵はしばらく考えると、男に向かって言いました。
「先のお方。すまないが、苦しんでいる者を先に助けねばならん。
 それが終われば必ず戻るから、ここで待っていて下され」
 そして子安地蔵は、後から来たお地蔵さんと一緒に出かけてしまいました。
「まいったな、いつ帰って来るんだろう?」
 男は家に残してきた妻の事が心配でしたが、ここまできた以上、手ぶらで帰るわけにはいきません。
 そしてやっと帰ってきた子安地蔵をせきたてるように、男は家へ向かいました。
 その途中、子安地蔵はすまなそうな声で言います。
「実はな、お前の妻は難産の末に、子を死産する運命にあったのじゃ。
 しかし、こうしてお前がわしのところに来たのも何かの縁、今回は何とか赤子の命を助けてやろう。
 だがな、それも十八までじゃ。
 その子は十八になった年に、桂川に命をささげることになるだろう。
 すまんが、これ以上はわしの力でも、どうにもならないのだよ」
 男はそれを聞いて、びっくりしました。
 自分の子どもが、十八才で死ぬというのです。
 でも、死産よりはましです。
 男は家に帰ると、妻が寝ている部屋へ飛び込みました。
 すると妻は難産でしたが、子安地蔵の言った通り元気な男の子を産んでいたのです。
 それを見て、子安地蔵が男に言いました。
「わしはこれで帰るが、その赤子の運命を忘れるでないぞ」
 男は子安地蔵を見送ると、生まれてきた子どもをしっかりと抱きしめました。
(たとえ十八までの運命でも、立派に育ててやるからな)

 さて、男の子は二人に大切に育てられて、すくすくと元気に育っていきました。
 あまりに元気な様子に、男も妻も子安地蔵の言葉が間違いだと思いました。
(こんなに元気な子が、十八で死ぬはずがない)
 そんな時、男は役所から、桂川の守り役を命じられたのです。
 桂川の近くに引っ越した男は、ふたたび子安地蔵の言葉を思い出しました。
(やはりおれの子どもは、十八の年に桂川で死ぬのだろうか?)
 役所からの命令なので、桂川の守り役を断ることは出来ません。
 こうなれば、桂川に異変がないことを祈るばかりです。
 そしてとうとう男の子が十八才をむかえた日、桂川は朝からの大雨で水があふれんばかりに水かさを増していました。
(ちくしょうめ、大雨が降りやがった。だが、息子が家にいれば大丈夫だ。いくら何でも、家までは桂川の水もやってこない)
 男がそう思って桂川に出かけようとした時、息子が声をかけてきました。
「お父さん、今日はお願いがあります。
 わたしも、今日で十八です。
 お父さんの代わりも、つとまる年です。
 桂川の事はわたしにまかせて、お父さんは家にいて下さい」
 息子はそう言うと男の止める声をふりきって、笠一つで雨の中へ飛び出して行きました。
 男はこれも息子の運命だとさとり、妻に息子の最後が来た事を告げました。
 そして息子のなきがらを持ち帰るため、後を追って桂川へと向かいました。

 桂川まで走っていった息子は、途中でとてもお腹が空いてきました。
 そこで先に腹ごしらえをしようと、川のそばにあるもち屋に入って名物のもちをたらふく食べました。
 そして代金を払おうとして金額をたずねると、もち屋の娘は、
「はい。百貫です」
と、言うのです。
「百貫ですか!?」
 あまりの金額にびっくりしながらも、持ち合わせのない息子は娘に編み笠を渡して言いました。
「悪いが、今はこれを代金の代わりに受け取ってくれ。
 わたしはこれから、桂川を守りに行かなくてはならない。
 無事に生きて帰れば、代金の百貫は必ず払おう。
 だが、もしもわたしが死んだ時は、この命、編み笠一枚程度だったと思ってほしい」
 すると娘はにっこり笑って、息子に言いました。
「実はわたしは、桂川の主なのです。
 今日は、あなたのお命をいただくはずでした。
 でも、あなたのやさしさに心をうたれました。
 そこであなたを運命を変えて、六十一の年まで無事に生かしてさしあげましょう」
 そう言って娘は、荒れくるう桂川に飛び込みました。
 すると桂川が、急に静かな流れになったのです。

 その後、息子も桂川の主が言った言葉通り、六十一才まで病気一つしなかったそうです。

おしまい
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Posted on 2013/04/12 Fri. 11:33 [edit]

category: 日本の民話

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ふるさと散歩163-40 長府毛利邸 

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Posted on 2013/04/12 Fri. 11:29 [edit]

category: ふるさと散歩

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ふるさと散歩163-39 長府毛利邸 

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Posted on 2013/04/12 Fri. 11:27 [edit]

category: ふるさと散歩

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ふるさと散歩163-38 長府毛利邸 

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Posted on 2013/04/12 Fri. 11:25 [edit]

category: ふるさと散歩

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ふるさと散歩163-37 長府毛利邸 

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Posted on 2013/04/12 Fri. 11:23 [edit]

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ふるさと散歩163-36 長府毛利邸 

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Posted on 2013/04/12 Fri. 11:22 [edit]

category: ふるさと散歩

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不思議なブドウ 

不思議なブドウ
中国の昔話


 むかしむかし、ある村に、とても心のやさしい娘がいました。
 この娘の左目がブドウのようにかがやいていたので、村人たちは娘の事を『ブドウ姫』とよんでいました。

 娘が十二才になった時、お父さんとお母さんが病気でなくなってしまいました。
 娘はおばさんの家に引き取られたのですが、このおばさんがとてもいじわるな人で、娘が親からもらった財産を全て取り上げると、娘を家から追い出してしまったのです。
 しかし娘は、悲しんで泣いたりはしません。
 昼は村のガチョウのせわをして、夜は川のほとりのやなぎの木にもたれて眠りました。

 それから一年が過ぎた頃、娘を追い出したおばさんに女の赤ちゃんが生まれました。
 しかしこの赤ちゃんは、生まれつき目が見えませんでした。
「ブドウ姫にいじわるをしたから、きっとバチがあたったんだ」
「そうだよ。ブドウ姫の財産を全てうばった上に、ブドウ姫を追い出したんだからね」
 村人たちに悪口を言われて、おばさんはくやしくてなりません。

 ある、お月見の夜の事。
 娘が川岸にすわって水にうつる月のをながめていると、そこへおばさんが通りかかりました。
 町へお月見のごちそうを買いに行った帰りなのか、おいしそうなブドウが入ったカゴをかかえています。
「おばさん」
 娘は、おばさんに声をかけました。
「そのブドウを、ひとふさわけてくださいな。朝から何も食べていないので、とてもお腹が空いているの」
 おばさんは立ち止まると、おそろしい顔で娘をにらみつけました。
「そう言えば、みんなはお前の左目をブドウのようだと言っているね。どれ、見せてごらん」
 おばさんはそう言うと、娘の左目に砂を押し込んだのです。
「キャーーーァ!」
「それ、ついでに右目も!」
 かわいそうに両目をつぶされた娘は、川のほとりで泣き続けました。
 そして泣きながら、死んだお母さんから聞いた話を思い出しました。
『遠い山の中には不思議なブドウがなっていて、それを食べるとどんなに目の悪い人でもすぐに治るそうよ』
 娘は泣くのをやめると、川の流れにそって歩き始めました。
「その不思議なブドウさえ見つかれば、わたしの目も、おばさんの赤ちゃんの目も治るわ。それに、ほかの目の悪い人の目も」

 目の見えない娘は、それから十日も川にそって歩き続けました。
 途中で何度も転び、体も服も泥だらけです。
 でも、娘はあきらめません。
「かならず、不思議なブドウを見つけるわ!」
 それからさらに十日後、娘はまだ歩き続けていました。
 いえ、途中で足をくじいたので、地面をはって進んでいます。
 娘の服はボロボロに破れ、顔や手から血がにじんでいます。
 ひどい疲れのために黒くつややかだった娘の髪が、いつの間にかまっ白になってしまいました。
「どこまで行ったら、あの不思議なブドウが見つかるの?」
 娘は何度もあきらめて、引き返そうとしました。
 しかしそのたびに勇気を出して、前へ前へと進みました。
「一度心に決めた事は、最後までやり通さなくては」
 そのうちに地面が、ひんやりと冷たくてやわらかくなりました。
 その地面は、大きな大きなヘビの背中でした。
 でも目の見えない娘は、そのままヘビの背中をまっすぐはっていきました。
 娘がヘビの背中のまん中ぐらいまで来たとき、ヘビがブルッとみぶるいをしたので娘はあっという間に深い谷底へ落ちてしまいました。
 ドシーン!
 娘は谷底に倒れたまま、動く事も出来ません。
「わたし、このままここで死んでしまうのね。・・・お母さん」
 娘はまぼろしのお母さんにむかって、手をのばしました。
 するとその手が、ツルツルとした丸い物にふれたのです。
 さわってみるとその丸い物は、草のつるのような物からぶらさがっていました。
(もしかしたら)
 娘はその丸い物をひきちぎって、そっとなめてみました。
 すると今まで閉じていた目がパッと開き、明るい光が飛び込んできたのです。
 娘がなめた丸い物は、探していた不思議なブドウだったのです。
 あたりを見回してみると、そこにはたくさんのブドウがしげり、キラキラと光をはじいています。
 地面には色とりどりの花が咲きみだれ、小鳥たちが楽しそうにさえずっています。
「目が見えるという事は、こんなにすばらしい事だったのね」
 元気になった娘は、ブドウのつるでカゴをあみました。
「はやく村へ帰って、目の悪い人たちにブドウをわけてあげましょう」
 娘がカゴいっぱいにブドウをつみおわったとき、あたりが急に暗くなりました。
「どうしたのかしら?」
 すると後ろの方から、
「おーい」
と、よぶ声がしました。
 ふりむいてみると、大男が山をまたいでくるところです。
 大男は肩に緑の布をまとい、頭に金のかんむりをかぶり、足に水晶(すいしょう)のクツをはき、手に銀のつえを持っています。
「娘よ。ここへ何しにきた!」
 高い空の上から、大男の声がひびきました。
 娘はおそれずに、大男に言いました。
「はい、目が治る、不思議なブドウを探しに」
 すると、大男はうなずいて、
「そうか。わしは、この森と草原と山の王だ。どうだ娘、わしと一緒にこのすばらしい国で暮らさないか?」
と、娘を抱き上げると、森の奥を指さしました。
 そこにはキラキラと光るめずらしい宝石が、山積みにやっています。
「あの宝石も、このブドウも、みんなおれの物だ。おれの娘になって、おれの城で暮らせ。幸せにしてやるぞ」
「ありがとう。でも、わたしは村へ帰らないといけないの。村に帰って、目が見えなくて悲しんでいる人たちに、この不思議なブドウをあげなければ」
「バカ者!」
 大男は怒って、空高く娘を放り上げました。
 そして落ちてきた娘を受け止めると、やさしく言いました。
「おれは知っているぞ。お前が村でつらい目にあっている事を。そんなところへ帰ることはない」
「いいえ。わたしは村へ帰ります」
「・・・そうか、お前のようなすばらしい娘と暮らしたいと思っていたが、あきらめるとしよう。さあ、村へ帰るがいい」
 大男は娘に、一本の小枝を渡しました。
 その小枝は不思議な小枝で、持っていると風のように早く走る事が出来るのです。
 娘はブドウの入ったカゴをかかえると、なつかしい村へと帰っていきました。

おしまい
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Posted on 2013/04/12 Fri. 09:58 [edit]

category: 世界昔話

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ふるさと散歩163-35 長府毛利邸 

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Posted on 2013/04/12 Fri. 09:53 [edit]

category: ふるさと散歩

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ふるさと散歩163-34 長府毛利邸 

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Posted on 2013/04/12 Fri. 09:51 [edit]

category: ふるさと散歩

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ふるさと散歩163-33 長府毛利邸 

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Posted on 2013/04/12 Fri. 09:50 [edit]

category: ふるさと散歩

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