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彦島のけしき

山口県下関市彦島から、風景・歴史・ものがたりなど…

アルキメデス 一人で船を動かす 

アルキメデス 一人で船を動かす


 むかしむかし、アルキメデスという名前の天才数学者がいました。
 彼の発見した法則や原理は、今の科学でも欠かすことの出来ない物となっています。
 このお話しは、その天才数学者アルキメデスのお話しです。

 アルキメデスが住んでいたシチリア島のシラクサの港で、数十人の奴隷(どれい)たちが肩に綱(つな)をかけて海岸の倉庫から船を海へ引き出していました。
「こら貴様ら、もっと力を入れんか!」
 ムチを持った監視員は、奴隷たちが少しでも力を抜くとムチを振り下ろします。
「うっ!」
 ムチで打たれた奴隷は汗まみれの顔をゆがめると、また力をふりしぼって船を引く綱を引っ張りました。
 しかし船は海岸の砂地に底をめり込ませたまま、まるで海へ引かれるのを嫌がるように動きません。
「何をやっているか! もっともっと力を入れろ! いつまでかかるつもりだ!」
 また監視員のムチがうなり、背中を打たれた奴隷の一人がその場に倒れてしまいました。
 それを見ていたアルキメデスは、倒れた奴隷に手を貸して立たせてやると、監視員に聞こえるようにわざと大きな声で一人言を言いました。
「ああ、なさけない。こんな船ぐらい、わたし一人で引き出せるのに」
 それを聞いた監視員は、アルキメデスに詰め寄りました。
「何だと! 数十人もかかってやっと引き出せる船が、なんでお前のようなひょろひょろの力なしに一人で引き出せるんだ!」
「引き出せるさ。力だけでなく、頭を使えばね」
「なにー! では引き出せるものなら、引き出してみろ!」
 そして周りにいた他の監視員たちも、アルキメデスを取り囲みました。
「若造め、生意気な事を言いやがって!」
「やれると言うのなら王さまの所へ連れて行ってやるから、我々の目の前でやってみろ」
 アルキメデスは、大きくうなづきました。
「ああ、いいよ。やってやるよ」
 こうしてアルキメデスは、シラクサの国王ヒエロンの所へ連れて行かれたのです。
 監視員たちから話を聞いた王さまは、アルキメデスに言いました。
「大勢の奴隷たちと監視員が力を合わせてやっと引き出せるものが、どうしてお前一人で引き出せるのだ?」
 するとアルキメデスは、自慢げに答えました。
「頭と道具を使えば、こんな船を引き出すぐらいかんたんな事です。それどころか、もし地球の外へ出る事が出来るのなら、この地球だって動かす事が出来ます」
 これには、王さまも家来たちもびっくりです。
 王さまはアルキメデスが自分を馬鹿にしてからかっているのだと思い、怒りを込めてアルキメデスに命令しました。
「では、わしの目の前で実際に船を動かしてもらおうではないか。もし出来なければ、お前を船引き奴隷にしてやるからな!」
 命令を受けたアルキメデスは、王さまの船倉庫の中から特別に大きな船を選びました。
 そして滑車を通した綱の一方を船にしっかりと結びつけると、王さまに言いました。
「王さま、今から始めますので、どうぞごらんください。
 ああ、ところで王さま。
 このまま空の船だけを引き出すのでは、面白くありません。
 どうせならそこにある荷物や見物人たちを、出来るだけたくさん船に乗せてください」
 それを聞いた王さまは、アルキメデスに怒鳴りました。
「貴様! 人を馬鹿にするにもいいかげんにしろ!」
 しかしアルキメデスが、にんまりと大きく笑ったので、
「よーし。望み通りにしてやる」
と、家来たちに出来るだけ重い荷物をたくさん運ばせると、周りにいた見物人たちを次々と船に乗り込ませました。
 ただでさえ大きくて重い船なのに、たくさんの荷物や多くの人たちが乗り込んだおかげで、船はいまにも海岸の砂地に沈み込みそうです。
「では、始めますよ」
 アルキメデスはそう言うと、滑車を通した綱の一方を遠くからゆっくりゆっくりとたぐり寄せたのです。
 すると、どうでしょう。
 船がグラグラとゆらいだかと思うと、
 ズズッ、ズズーーーー。
と、海岸の砂地を一直線に進み出したのです。
「なっ、なんと!」
 王さまを始め、これを見ていた人々はおどろきのあまり、ただ目を見張るばかりです。
 このアルキメデスが船を動かした滑車とテコの原理を使った方法は、今の時代では当たり前ですが、その仕組みを知らない当時の人々には魔法としか思えなかったそうです。

 こうして王に認められたアルキメデスは、この日から王の技術顧問となって、学問や技術の相談役となったのです。

おしまい
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Posted on 2012/11/15 Thu. 11:18 [edit]

category: 世界昔話

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故郷の花々070 

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Posted on 2012/11/15 Thu. 10:08 [edit]

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ツルの恩返し 

ツルの恩返し


 むかしむかし、貧しいけれど、心の優しいおじいさんとおばあさんがいました。
 ある寒い冬の日、おじいさんは町へたきぎを売りに出かけました。
 すると途中の田んぼの中で、一羽のツルがワナにかかってもがいていたのです。
「おお、おお、可愛そうに」
 おじいさんは可愛そうに思って、ツルを逃がしてやりました。
 するとツルは、おじいさんの頭の上を三ベん回って、
「カウ、カウ、カウ」
と、さもうれしそうに鳴いて、飛んで行きました。

 その夜、日暮れ頃から降り始めた雪が、コンコンと積もって大雪になりました。
 おじいさんがおばあさんにツルを助けた話をしていると、表の戸を、
 トントン、トントン
と、叩く音がします。
「ごめんください。開けてくださいまし」
 若い女の人の声です。
 おばあさんが戸を開けると、頭から雪をかぶった娘が立っていました。
 おばあさんは驚いて、
「まあ、まあ、寒かったでしょう。さあ、早くお入り」
と、娘を家に入れてやりました。
「わたしは、この辺りに人を訪ねて来ましたが、どこを探しても見当たらず、雪は降るし、日は暮れるし、やっとの事でここまでまいりました。ご迷惑でしょうが、どうか一晩泊めてくださいまし」
 娘は丁寧(ていねい)に、手をついて頼みました。
「それはそれは、さぞ、お困りじゃろう。こんなところでよかったら、どうぞ、お泊まりなさい」
「ありがとうございます」
 娘は喜んで、その晩は食事の手伝いなどをして働いて休みました。
 あくる朝、おばあさんが目を覚ますと、娘はもう起きて働いていました。
 いろりには火が燃え、鍋からは湯気があがっています。
 そればかりか、家中がきれいに掃除されているのです。
「まあ、まあ、ご飯ばかりか、お掃除までしてくれたのかね。ありがとう」
 次の日も、その次の日も大雪で、戸を開ける事も出来ません。
 娘は、おじいさんの肩をもんでくれました。
「おお、おお、何て良く働く娘さんじゃ。何て良く気のつく優しい娘さんじゃ。こんな娘が家にいてくれたら、どんなにうれしいじゃろう」
 おじいさんとおばあさんは、顔を見合わせました。
 すると娘が、手をついて頼みました。
「身寄りのない娘です。どうぞ、この家においてくださいませ」
「おお、おお」
「まあ、まあ」
 おじいさんとおばあさんは喜んで、それから三人貧しいけれど、楽しい毎日を過ごしました。

 さて、ある日の事。
 娘が機(はた)をおりたいから、糸を買ってくださいと頼みました。
 おじいさんが糸を買ってくると、娘は機の回りにびょうぶを立てて、
「機をおりあげるまで、決してのぞかないでください」
と、言って、機をおり始めました。
 キコバタトン、キコバタトン。
 娘が機をおって、三日がたちました。
 ようやく機をおり終えた娘は、
「おじいさま、おばあさま、この綾錦(あやにしき→美しい布の事)を町へ売りに行って、帰りにはまた、糸を買って来て下さい」
と、娘は空の雲の様に軽い、美しいおり物を二人に見せました。
「これは、素晴らしい」
 おじいさんが町へ売りに行くと、それを殿さまが高い値段で買ってくれました。
 おじいさんは喜んで、糸を買って帰りました。
 すると娘はまた、機をおり始めました。
「ねえ、おじいさん。あの娘はいったいどうして、あんな見事な布をおるのでしょうね。・・・ほんの少し、のぞいてみましょう」
 おばあさんがびょうぶのすきまからのぞいてみると、そこに娘はいなくて、やせこけた一羽のツルが長いくちばしで自分の羽毛を引き抜いては、糸にはさんで機をおっていたのです。


「おじいさん、おじいさんや」
 おどろいたおばあさんは、おじいさんにこの事を話しました。
 キコバタトン、キコバタトン・・・。
 機の音が止んで、前よりもやせ細った娘が布をかかえて出てきました。
「おじいさま、おばあさま。もう、隠していても仕方ありませんね。
 わたしは、いつか助けられたツルでございます。
 ご恩をお返ししたいと思って娘になってまいりました。
 けれど、もうお別れでございます。
 どうぞ、いつまでもおたっしゃでいてくださいませ」
 そう言ったかと思うと、おじいさんとおばあさんが止めるのも聞かず、たちまち一羽のツルになって空へ舞い上がりました。
 そして家の上を、三ベん回って、
「カウ、カウ、カウ」
と、鳴きながら、山の向こうへ飛んで行ってしまいました。
「ツルや。いや、娘や。どうかお前も、たっしゃでいておくれ。・・・今まで、ありがとう」
 おじいさんとおばあさんは、いつまでもいつまでもツルを見送りました。
 それからのち、二人は娘のおった布を売ったお金で幸せに暮らしました。

おしまい
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Posted on 2012/11/15 Thu. 10:06 [edit]

category: 日本の民話

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ふるさと散歩137-5 山の田 

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Posted on 2012/11/15 Thu. 10:01 [edit]

category: ふるさと散歩

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ふるさと散歩137-4 山の田 

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Posted on 2012/11/15 Thu. 10:00 [edit]

category: ふるさと散歩

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